若月ドクター疾患名別解説・・・かもしれないと言われたら、事前に調べてあわてない。

「・・・じゃない?」「・・・の疑いがあるかもしれません。」そんな風に何気なく言われたら、とても気になるものですね。いったいそれはどんな病気なの?どんな症状?どんな治療をするの?・・・
若月ドクターがわかりやすく丁寧に解説しましょう。

■亀頭、陰茎(女性では陰唇、膣)の疾患
 

気になる痒み(かゆみ)亀頭包皮炎(きとうほうひえん)(男性)

亀頭部や包皮が赤くなった皮がめくれて、痛みや痒み(かゆみ)、あるいは浮腫がおこる病気です。
たいていは細菌感染が原因で抗菌剤の内服で治ります。 いろいろな原因がありますので、尿検査、細菌検査などが必要になります。
 
◆部位: 
陰茎の亀頭部、包皮(陰茎亀頭をおおう皮膚)、環状溝(かんじょうこう)(亀頭部の付け根)に起こります。

◆症状
痒み(かゆみ)、痛み、ただれ、垢(あか)、浮腫、できもの(丘疹)、赤くなる、傷などの症状があります。  
 
1痒み :アレルギー、カンジダ症、接触性皮膚炎、細菌感染など      
2痛み :ヘルペス、細菌感染など      
3ただれ :細菌感染、カンジダ症、接触性皮膚炎など      
4恥垢の増加 :不十分な手入れ、細菌感染など      
5発赤 :アレルギー、細菌感染、カンジダ症、接触性皮膚炎など      
6丘疹(盛り上がった腫れ) :梅毒、ヘルペス、アレルギー、細菌感染など      
7水疱(水ぶくれ)      :ヘルペスなど         
8 糜爛(びらん)=全体に皮膚が荒れた状態 :アレルギー、接触性皮膚炎、洗いすぎ、細菌感染
9 潰瘍(かいよう)=皮膚がなくなり下が見えている  :ヘルペス、 軟性下疳(なんせいげかん)、梅毒(ばいどく)など
10 線状潰瘍=皮膚が線状に切れている:ヘルペス、アレルギー、腫瘍などもあるが原因不明のものが多い。

▼恥垢とは
(男) 陰茎の分泌腺から分泌される皮脂のことです。生後これが亀頭部と包皮の間に溜まって、 包皮と亀頭の癒着がはずれてめくれるようになります。ですから亀頭部の潤滑油のようなものです。ただこの分泌腺に細菌感染が起こると、恥垢の量が増加したり臭いが強くなったりします

▼genital fissure
とは=線状潰瘍:(男女) 女性の会陰部に見られる皮膚の亀裂です。男性でも包皮の皮膚が横方向に切れて、性交時に強く痛む場合がありますが、これと同様と考えられます。カンジダ、ヘルペス、ブドウ球菌、連鎖球菌の感染、湿疹(単純苔癬、硬化性苔癬)、ボウエン病などが原因になることもありますが、原因が不明の場合もあります。

▼カンジダ感染症とは
(男女) カンジダは正常人でも腸管内などに保菌していますが、通常では感染は起こりません。
女性で抗生物質を使用して膣内の正常細菌が消えてしまって、カンジダが増えてしまう場合や、糖尿病のある男性で亀頭包皮炎をおこす(糖尿病で感染抵抗が低下しているため)場合などがあります。
感染経路:性行為でも感染しますが、性行為がなくても、自分がもっているカンジダによることも多くあります。

◆診断: 
1 いろいろな原因があり、症状だけでは診断できないことも多い。      
2 清潔にすることや、軟膏(なんこう)で治ることも多いが、治りにくい場合には診察、検査が必要です。  
3 性行為のあとに起こった場合には、尿道炎が原因の場合や、ヘルペス、梅毒、軟性下疳などがあり、特に  正しい診断と治療が必要です。      
4 治りにくい亀頭包皮炎では、基礎疾患(きそしっかん)に尿道炎や糖尿病(とうにょうびょう)のあることがあ  ります。           
5 包茎や、免疫病(めんえきびょう)、腫瘍(しゅよう)が原因で、手術や組織検査の必要な場合もあります。

◆治療
たいていは抗菌剤の内服で治りますが、それ以外では原因に応じた治療が必要。
ヘルペスでは抗ヘルペス薬、アレルギーではステロイド軟膏や抗ヒスタミン剤、カンジダでは抗真菌の軟膏、梅毒ではペニシリン内服、単なる創傷ではアズノールなどが治療方法となります。

陰茎真珠様小丘疹(男性)

亀頭環状部(亀頭の根元)に1mm程度の小さな丘疹(粒粒)が1列か2列になって真珠のように並んでいるもの。線維と血管が盛り上がったもので、病気ではなく治療の必要はありません(尖圭コンジローマではない)。手術で治療できますが、病気ではありませんので保険適応はありません。

フォアダイス(男性)

亀頭部ではなく陰茎皮膚(いんけいひふ)に小さな粒粒がかたまって集合している(線状の場合もある)もので、皮脂腺(ひしせん=皮膚の油を分泌する)が過形成(かけいせい=ふえておおきくなること)を起こしたものですが、病気ではなく治療の必要はありません。

陰茎硬化性リンパ管炎(モンドール病)(男性)

陰茎部のリンパ管や静脈が硬く筋状に腫れる疾患で、多くは自然に治癒します。
硬くなるのが血管かリンパ管かで議論もありますが、どちらもある様です。
どちらであっても治療と経過は同じです。
尿道炎が合併する場合は尿道炎の治療で治りますが、たいていは原因不明です。
過剰な性行為による陰茎の摩擦刺激でも起ったという報告もあります。

ぶつぶつができた 尖圭コンジローマ(男女)

外陰部にできるウイルス性の疣(いぼ)です。性的な接触が主ですが、それ以外の接触でも感染の可能性があります。亀頭部、包皮、陰嚢、陰茎、肛門、女性では陰唇、腟、子宮頸部などにできます。
ベセルナクリーム、切除、凝固、(液体窒素)で治療します(部位により適応が違います)。
  
◆ どんな病気       
HPVウイルスが感染してできる、ぶつぶつ、イボです。尖圭コンジローマといいます。   
◆ どうして感染する      
直接、コンジローマと接触すると、ウイルスが皮膚にできた小さな傷から感染します。   
◆ どのようにしてウイルスからイボができる?(少し難しい話です)
感染したウイルスの遺伝子(DNA)は、表皮の深い層の細胞に入り込んでしまいます。ウイルスの感染した細胞は新陳代謝で表面に移動していきますが、表面に到達すると、DNAからウイルスに発育しこれが細胞をイボに変化させます。   
◆ 潜伏期間      
性的接触などで感染してから3週間から8ヶ月(平均2.8ヶ月)といわれています。   
◆ 治療しないとどうなるのでしょうか      
粘膜、皮膚だけの病気ですので、全身への影響は通常ありません。ただし、数や大きさが増えて外観上の問題や、出血し易くなることがあります。男性の場合尿道や、膀胱の粘膜に広がることもあります。女性の場合には子宮頚癌へ進行することもあり注意が必要です。ただし自然治癒が20%にあるとも報告されています。
◆ どのような場所にできるのでしょうか      
陰茎、陰嚢、尿道、肛門、直腸、子宮頚部、腟、陰唇などですが、口腔内にもできることがあります。  
◆ 子宮がんになる?      
HPVウイルスの16,18型など悪性型では子宮がんへの移行が問題とされています。男性では類ボウエン病や、ボウエン病が問題となりますが、男性ではHPVウイルスが原因の陰茎癌は少数です(さらに陰茎癌の頻度は女性の子宮癌に比べると圧倒的に少ない)。 女性では、子宮がんの予防ワクチンが保険適応となっています。16,18型だけに有効な癌予防だけのものと、16,18型に加えて6,11型を含むコンジローマ予防にも有効なワクチンの2種類があります。いずれも性生活の始まる前、つまり思春期前の接種が必要です。   
◆ 診断は?      
特徴的な外観から診断できますが、切除して病理検査をすることで確定できます。HPVの型別診断は女性では保険で検査できますが、男性では保険適応がありません。女性の場合には、子宮頚癌の検査を同時に行うとよいでしょう(婦人科)。   
◆ 治療法は      
切除や凝固といった外科的治療とベセルナクリーム(抗ウイルス薬)、あるいは液体窒素による凍結治療(当クリニックでは液体窒素治療は行っていません。)が保険適応のある治療法となります。   
◆ 切除術   
局所麻酔を行って、コンジローマ部分を切除します。切除部分は、通常そのままで、消毒と軟膏を1-2週間、自宅で行っていただきます。60%程度は、1回の治療で、30%程度は1-2回の追加治療(焼灼)で終了しますが、10%程度は再発が頻回で追加治療が必要です。 初診では診断と尿道炎などほかの性感染症の合併の診察をして、切除の予定を決めます。切除は大きさと数によりますが、20分前後です。  
◆ ベセルナクリーム      
週に3回、寝る前にクリームを塗って、朝、洗い流すという塗り方で、最低4週間の治療を行います。3-4ヶ月までの治療が必要なこともあります。70%に有効と言われています。陰茎と肛門周囲だけが適応で、正しく使用しないと高度の皮膚炎を起こすことがあります。尿道や陰のうには適応がなく、もし使用すると副作用が強く出ます。

性器ヘルペス(男女)

性行為の後1-2日で性器に発疹や水泡ができて痛みがあり、リンパ節が腫れたり、発熱したりします。視診で確定できますが、ウイルス検査や抗体検査も行います。抗ウイルス薬で治療します。   

◆原因
単純ヘルペスウイルスが性行為で性器に感染して起こります。 1型と2型があります。 1型は口唇ヘルペス、2型は性器ヘルペスの原因ですが、交差(交差=1が性器に、逆に2が口唇に)もあります。     
◆感染経路
口唇ヘルペスはたいてい小児期に感染していることが多く、体調を崩したときなどにウイルスが刺激されて活動を開始し、いわゆる熱の花の症状(口の周囲に痛みのある潰瘍)を生じます。性器ヘルペスでは、性行為により、ウイルスが皮膚に侵入し、発疹から水疱を造ります。   
◆症状
感染後1-2日で、性器に疼痛のある発疹、水疱ができます。初感染の場合には、疼痛も高度で、発熱やリンパ節の腫れを起こすこともあります。ウイルス遺伝子は感染した部位の神経細胞の中に残りますので、一度治癒してもこのウイルス遺伝子が活性化されて、再発することもあります。   
◆治療
抗ヘルペス剤の内服が原則。  坑ヘルペス剤:ゾビラックスに坑ヘルペス作用があります。ただし腸管吸収が悪いため1日に5回に分けて服用する必要がありますが、ジェネリック薬品もあり低価格で使用できます。バルトレックスは吸収が良好で1日2回の服用で効果があります。体内に吸収されてからゾビラックスと同じものに代謝されて効果を発揮します。初発で症状が強い場合には10日間、再発の場合には5日間の服薬ができます。 バルトレックスもバラシクロビル(ジェネリック薬)が使えるようになりました。   
◆予防
何度も再発する場合(年に6回以上)には、予防投薬が可能です。バルトレックスを1錠毎日服用します、再発率が50%以上低下することがわかっています。partnerへの感染予防にも有効とされています。 バルトレックスのジェネリック薬でバラシクロビルが使えるようになりましたので、費用がかなり軽減しています。
◆帯状疱疹(たいじょうほうしん)(=帯状ヘルペス)
帯状疱疹ウイルスが原因で単純ヘルペスとは違い、水疱瘡(みずぼうそう)と同じウイルスです。これは小児期に感染した水疱瘡が原因で、疲労やストレスなど抵抗力の低下のためにウイルスが活性化され、皮膚の神経の走行に従った帯状の水疱をおこす病気です。痛みも発疹も単純ヘルペスに比べて強いのが特徴です。

ケジラミ (男女)

ケジラミは主に外陰部の陰毛にケジラミが寄生して増殖し、痒みを伴う病気です。
痒みが強く、数が増えてくると、直接虫体を見つけることも容易です。
感染の機会があって(性行為)陰毛付近の痒みがある場合には、ケジラミ症が疑われます。
スミスリンパウダーやシャンプーで治療します。
◆ケジラミの感染経路
人体から離れると生存期間は48時間程度で、1日に10cm程度しか移動できませんので性行為などの接触による感染が多いのですが、寝具などを介しての家族間での感染もあります。
ケジラミは人にだけ寄生して吸血します。陰毛の根元に卵を産みますが、卵は1週間で孵ると脱皮して2-3週間で成虫となります。成虫は3-4週間生存して、30-40個の卵を産みます。殺虫剤は成虫にだけ有効です。
◆ケジラミの寄生部位
陰毛のほか、肛門周囲、胸毛、大腿部、腋下などの短毛を好みますが、髭、眉毛、睫の他に子供や女性の頭髪にも寄生します。
◆治療
卵からかえった成虫を殺虫剤(スミスリン)で処理することを何回か繰り返して卵が亡くなるまで続けます。痒みにはオイラックス軟膏などを使用します。

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