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06-6372-2002
院長コラム
泌尿器科専門医、性感染症学会認定医の若月院長からのお知らせや、アドヴァイスなど随時掲載いたします。
亀頭包皮炎(泌尿器科紀要51:737,2005より)
2001年1月から2003年の12月までの3年間で尿道炎、梅毒、ヘルペス等の性感染症を伴わない亀頭包皮炎189例を経験した。この内47例では化膿連鎖球菌(PYO群とする)を検出したが、その臨床経過をB群93例(カンジダを含む、化膿連鎖球菌以外の細菌が検出された群)、NB群27例(細菌が検出されなかった群)およびN群(症状から細菌検査を行わなかった群)と比較検討した。
PYO群の臨床症状の特徴は、膿性分泌液(68.1%)と疼痛(38.3%)であり、B 群(各々、25.8%と 21.5%)および NB 群 (各々、33.3% と 11.1%)に比べて有意に高頻度であった。PYO群の7例では包茎を認めなかった。PYO群の感染経路の特徴は、性的接触であったが(PYO=78.7%、B群=52.7%、NB群=59.3%、N群=40.9%)、特にcommercial sex workerとのfellatioが主体であった。
この性的接触から発症までの期間をみるとPYO群では3日以内のものが40.5%、4日から7日以内のものが35.1%と1週間以内のものが大半を占めていたが、他群では1週間以上か、あるいは忘れてしまっているものが多く、性的な接触との関連が考えにくいものが多かった。
治療としてはtosufloxacin tosilateとamoxicillinがPYO群の大半で有効であった。
今回の検討から、化膿連鎖球菌が性行為により感染する亀頭包皮炎の起炎菌のひとつとして重要であると考えられた。
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